あなたやあなたの家族、大切な友人が病気になったとき、
どのような医師にかかりたいですか?
<コミュニケーションの目的>
「手段と目的の区別」
次のような例えがあります。
医学、医療現場であれば患者自身の病気に対する考え方や
「なぜこのような病気がからだに現れたのか」などを一緒に考え、
病気を治すだけでなく、再発させない方法や、
そのためのからだづくりなどをしっかり伝えることまでが目的。
先日、手術をともなう重い病気を患った友人が、
2人の医師の診察を受けました。
目的のために手段
A医師
「今日の検査結果ですが、~~~」
パソコンに向かったまま話しかけ、
友人の顔をまともに見ることなく診察を開始しました。
そして
「はい。今日はこれでおしまいです」・・・
A医師は、この間一度も患者である友人を正面から見ませんでした。
B医師
恐る恐る友人が診察室に入ってみると、顔はもちろんのこと、
体の向きも彼女を迎える姿勢で既にスタンバイされていました。
笑顔で接しながら、友人の緊張と不安をほぐしながら問診。
そして、一緒にこの病気と闘おうと、
最後に友人と同じ立ち位置で励ましてくれました。
両者の医師ともかなり有名な医師だそうですが、
あなただったら、どちらの医師にかかりたいですか?
どちらの医師も、患者を救うことに対してもちろん真剣です。
しかし、ただでさえ恐怖と不安を抱える患者にとって
どのような気持ちであるかがとても大切ではないでしょうか。
A医師のコミュニケーションだと患者は不安になり、
インフォームドコンセント
(正しい情報を得た上での合意)も得られないことでしょう。
目的のために手段があります。
手段のための目的ではないのです。
友人は、B医師との出会いにより、
病気と立ち向かう勇気を得て、今現在治療に励んでいます。
このような友人の体験を通して
私自身もいつの間にか目的と手段にズレが生じてはいないか、
そう考えさせられました。